昔から病は気から、と言われている。現代ではその気が、気持ちの意味に使われている。つまり、気の持ち方で病になる、である。本当の意味は、病は身体の皮膚表面を走る”気の流れの変化”から起こる、である。東洋医学のいう気は『氣』と書く。
では、『氣』とは何か?
東洋思想から物事、現象を考えない方々からすると掴み難い、見えない、訳のわからないもの、科学的でないものと思われている。しかし、この医療に携わると、その医療哲学の深遠さと、まさに自然科学であることが分かってくる。氣と自然と宇宙の関係を考えて治療するとかなりの病が治り、私でも「ああ、治せる」と実感できる。それは先人の業績を見ても分かる。たくさんの病を治している。治らなければ、その治療が間違っている。さて、氣は、エネルギーであり電子の移動現象、つまり微弱電流である。「氣のイメージ」としてはクラゲが発光しているのを見たことがあるでしょう。体表を光が移動して見える様を思い浮かべてみる。体表を電流が流れているのを想像できる。たまたま、発光体を刺激して光っているのだが、電子の移動に他ならない。
「氣」という字を白川静氏の辞書「常用字解」で調べてみた。
『もとの字は氣に作り、音符は气(き)。气は雲の流れる形で、雲気をいう。气は生命の源泉、おおもととされ、米(穀類)はその気を養うもとであるというので气に米を加えて氣となった。また餼(き)とも書き、氣が餼(贈り物の意味)のもとの字である。氣は全ての活動力の源泉であり、大気(地球を取り巻く空気の全体)・元気(活動の源となる気力)として存在し、人は気息(呼吸のこと)することによって生きる。また、人に現れるものを気質(気だて、気性)・気風(集団や同じ地域の人々が共通に持っているとみられる気質)という。』以上の様な説明である。
氣は「生命体の活動力の源泉」で、体質(からだ)と気質(こころ)を決定する。それによって、生命体の恒常性が維持され健康でいられるが、維持できなければ病気となる。私達が健康に生活できるのは、脳がしっかりしているからでも、内臓が強いからという訳でもない。脳死の状態でも身体は機能している。全身を氣がしっかり流注して生命体の恒常性を維持しているからである。例えば、太陽系の宇宙は規則正しい周期で太陽の周りを地球や木星、火星、土星、金星、水星などが回転している。宇宙エネルギーによって宇宙の恒常性が保たれている。この宇宙エネルギーが「天の氣」と呼ばれるもので、これによって生命体は生かされ恒常性を維持している。地球生命体は地球に生まれて進化または変化し育ってきたゆえに、地球エネルギーによっても生命体は生かされている。地球エネルギーを「地の氣」と呼ぶ。地球エネルギーには、宗気、栄気、衛気がある。宗気(そうき)は酸素や窒素などの空気中に発散された氣、栄気(えいき)は食べ物から得た氣でエネルギー源です。衛気(えき)は邪から身体を守る氣で、外界環境から受ける侵襲や今でいう細菌やウィルスなどと戦う抗原抗体反応を指し免疫力のことである。三千年以上前からこの免疫概念があったことに何か卓越した崇高な医療哲学があったことが伺われます。
このように宇宙と地球の氣によって、地球生命体は生かされている。したがって、生命体には、宇宙がそのまま反映されているという考え方が東洋医学です。生命体を小宇宙と考えるのはその背景があるからです。その地球生命体の「病」はこれまで述べてきましたように「氣の変動」から起こってきます。氣は身体という小宇宙内の軌道、すなわち経絡(12本の経脈とその支流の絡脈)を流れ、その変動を元に戻せば病は治癒します。これが東洋医学の治療基本理念です。このように東洋医学は、まさに宇宙自然と生命体の関係を真に研究した自然科学だと気づきます。
(2015/9/23記)
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